金木犀



「え・・・・?」



もちろんトヨくんのチョコも用意したよ?




おねえちゃんはそのこと言ってるんだよね?




「けいちゃん、今日は来ないかもしれないよ?」




「えっ?!」



作ったサラダを持って食卓へ行こうとするお姉ちゃんはクスクス笑う。




「あっ、あの!おねえちゃん?!」



「あ、トヨには内緒でしょ?気付いてると思うけど。」



「えっ?!」



トヨくん気付いてるの・・・?




「けいちゃんのこと好きなんでしょ?」




私より少し背の高いおねえちゃんに頭を撫でられる。




「ん・・・・」



「バレンタイン、頑張って作ったもんね。」


「うん・・・」


「今日、来てくれるといいね。」




優しく笑うお姉ちゃんを見て、思い出した。



バレンタイン。




うちに遊びに来た高校生だったトヨくん。




夜ご飯を食べ終えた私は一人でお風呂に入って。




出てきたとき、リビングのソファーの上でお姉ちゃんとトヨくんはキスしてた。




小さかった私は恥ずかしいという感情よりも




おねえちゃんを取られると思った。




キスして、恥ずかしそうにしてる二人を見て、声を出して大泣きしたんだ。










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