金木犀



私は思いっきり首を横に振る。




「おねっ・・ちゃんが・・・・心配するっ」



鼻をすすりながらしゃべる。




「そっか、じゃ、入る?」



優しい声に余計に涙がこぼれる。



「だめっ・・・・こんな顔じゃ・・・・入れない~・・」




うぇ~んって子供みたいに泣く私に困った顔してけいちゃんは笑った。





泣き止まない私の傍にずっと一緒に居てくれた。




秋の金木犀の香りがふわって流れて、木の葉が揺れる音がする。





ずっとずっと泣く私の横でずっと一緒に居てくれたんだ。











結婚式が終わって。




私は結局、教会には入れなかった。




2次会の会場で、落ち着きを取り戻した私はトイレでメイクを直して。




会社の人たちと楽しそうに笑ってるお姉ちゃんとトヨくんに近寄った。







私を見つけたお姉ちゃん。



「奈々・・・・」



さっきまで笑ってた顔が急に寂しそうになる。



トヨくんだって困った顔。




ダメだよ。



結婚式なのに。




世界で一番幸せな顔してなくちゃいけないのに・・・・




でも、二人をそんな顔にさせてるのは私。





全部、全部私のせいなんだ。













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