私達の世界はタイトル未定。
第六章 『梅雨明けの日に』
~鳰都~
あの嵐のような日に借りた、奈古君の紺色のシャツ。
また一週間が始まり、私は学内で奈古君に会った時に返そうと彼のシャツをバッグに忍ばせていたのだが、中々顔を合わせることもなく、今朝、出勤前に一階の奈古君の部屋を訪ねた。
時刻は午前八時半前、起きているだろうか……と思った所、私服に着替えてしゃんとした奈古君が扉を開けた。
「あれ、鳰さん。朝からどうしたんですか?」
「お、おはようございます。……こ、れ。貸してもらったシャツを……」