学園スパイラル~七不思議編~
 彼女がいた時期は、体育館での遊びが流行っていて、あやとりをみんなに勧める勇気が無かったのだ。

「誰にも声をかけられなくて、戸惑っていた時に真上からライトが落ちてきたそうだ」

「うへ」

「そんな事が──」

 そのときの痛みはどれほどだったのか。二人はあまりの事にふさぎこんだ。

「もちろん。別の学校の話だけどね」

「ここじゃないのかよ!」

 咄嗟に耕平が突っ込む。

 哀しみに明け暮れ、浮遊していたらこの学園の体育ドームを見つけた。

「彷徨っていたときは記憶が混乱していたようでね。ふと見えた体育ドームに、そのときの感情が呼び起こされたんだろう」

「だったら、自分の体育館に戻れよ!」

 耕平が張り上げた声は体育ドームに響き、健は「まあまあ」となだめた。

「居心地が良かったんだろう」

「学園に関係ない奴が多すぎる」
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