学園スパイラル~七不思議編~
 
 関節の硬い人体模型はバランス移動によって、かろうじて動いているような状態で慌てて逃げ出す必要のないほどにのんびりとした動きをしている。

 とはいえ三人が呆けているのは、そのせいではなく──

「落としてるよ」

「落としてるね」

 半分に開かれた体からは、歩く度に内臓がポトポトと落ちて最終的には、ガシャーン! とバランスの崩れた内臓が重力により一気に床に散らばった。

 ここで人体模型が動かなくなる。どうやら、内臓が全て落ちた事で気分的に動けなくなったらしい。
 初めの恐怖はなんだったのかと耕平は顔をしかめる。

「はいはい。じっとして」

 匠は木で出来た内臓を拾い上げて人体模型に詰め込んだ。けれども、押し込めても動けばまた落ちるの繰り返しで埒(らち)があかない。
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