学園スパイラル~七不思議編~
 
 ──食堂は学園の南西にある。

 匠はガラス張りの扉を見つめて、コピーキーを取り出した。最後の謎であるせいなのか、謎の中身のせいなのか、一同は慎重に足を踏み入れる。

 清潔に保たれている食堂は、自動販売機だけが存在を主張するように明るい光を放っていた。

 耳をそばだてると、厨房の方から何やら音が聞こえてくる。カウンター越しに見えるゆらゆらと揺れる青白い光は、今までより強く明るく感じられた。

「この音って」

「料理をしているね」

 中華鍋だろうか。よくテレビでお目にかかる中国料理店の、中華鍋を扱っているような慌ただしい金属音が響いている。

 匠たちは姿勢を低く厨房に近づき、カウンターからそっと中をのぞき込んだ。
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