兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
【要side】

「美衣、これ持っていきなさい。
お母さん、香典用意しといたから」



「お母さん、ありがとう……」



学校から帰ってきたはずのあいつは、制服を着てどこかに出かけるようだ。



母親から受け取った袋をしまったあいつは、何も言わずに出て行ってしまった。



「母さん、美衣は?」



「新倉君のお母さん亡くなったのよ。
今日お通夜があるから……

美衣一人じゃ心配だけど、まだ婚約者でもないのに、私まで行くのはどうかと思って……」



母親は心配そうな顔で、あいつが出ていった玄関に目をやった。
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