青藍─Seiran─
第四章 『送る、君に、二月』




~一大地~

 二月に入るとデパートはバレンタインフェア一色になり、この雑貨店でもオーガニックチョコレートの販売に力が入った。

 社会人になった去年は、女性社員から沢山の義理チョコを貰い、ホワイトデーにお返しをするのが大変だった記憶がある。近年は義理チョコ廃止の会社も多いし、なくしてくれたらいいのにな、と思っていた。

「おつり340円です」

 ラッピングされたチョコを購入した、制服を着た女子学生にお釣りを渡すと、手が触れた瞬間、そのチョコレートが女友達に渡す物だと感じ取れた。




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