青藍─Seiran─
第七章 『恋、4月、自覚』




~一大地~

 山岡の結婚式が終わると気候もガラリ変わり、四月に入ると徐々に桜も咲き始めた。俺は四季の中で春が一番好きで、唯一この時期だけは、毎年一人で外に出て桜を見に出向いたりしていた。 

 驛さんに食事に行きたい、とのメッセージカードを送って数日、退勤時間が重なることがなかったため、俺は仕事終わりに驛さんに連絡を入れてみた。

 ホワイトデー、鮎原さんに渡したキャンディーの詰め合わせと、入荷を待って驛さんに送ったヘアゴム。気持ちには差があった。

 アプリでメッセージを送るとすぐに既読になり、日を合わせて二日後に自分が驛さんの退勤まで待つ形になって、俺はそれをやや楽しみにしながら二日の仕事を終えた。



< 297 / 468 >

この作品をシェア

pagetop