俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「なにを……」

「私的な連絡先を教えてもただ驚くだけ。自ら名乗ろうとさえしない。お前、面白すぎるだろ」


なんでだろう、まったく褒められている気がしない。


「興味がありませんので」

「それは残念。だが俺は興味がある。俺の気を惹くための演技かと思ったが、そうでもないようだしな」

長いまつ毛に縁どられた綺麗な目に射抜かれて、身動きができなくなる。


男性なのにどうしてこんなに肌が艶やかなんだろう。

お手入れ方法を教えてほしいくらいだ。


「なんで私があなたの気を惹く必要が?」

素直な疑問を口にする。


むしろ今すぐ逃げ出したいのに。


「本当に珍しいな。飲料にはあれほど一生懸命なのにそれ以外はまったく無頓着」

「あなたには関係ありません」

「関係ある。益々お前を知りたくなった」

フッと口角を上げた彼が、手首を握る指にほんの少し力を入れる。

自分とは違う高い体温が伝わる。

ふいに手首が持ち上げられた。


「なにを……」

その瞬間、そっと彼が私の指先に小さなキスを落とす。

ほんの一瞬なのに指先が燃えるように熱をもつ。

ひゅっと息を呑んだ。
< 14 / 221 >

この作品をシェア

pagetop