俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「なあ、なにか脅されたのか? お前はあの副社長に利用されているだけなんじゃないのか?」

「え……?」

「あれだけ女性関係の噂も派手だった男だぞ。結婚相手であるお前を世間に公表しないなんてなにか裏があるんじゃないか?」

「そんなはずない」

「だったらなんでお前は結婚を秘密にしているんだ? 言い含められたんじゃないのか?」

「違うわ、この結婚を発表しないように頼んだのは私よ。今はこの案件だってあるし、大事な時期だから落ち着いてからにしてほしいとお願いしたの」

「ああ、この案件を獲得して業績を上げればあの男の株も上がるからな」

「そんなんじゃないわ」

「今回のようにファミリー層をターゲットにしている企業への、クリーンなイメージのために妻という名目上の存在が必要だっただけじゃないのか? あんなネットニュースまで配信して」

孝也の声が胸の奥を痛いくらいに抉る。


私との結婚はお飾りで演技だと、周囲は思っているの?

あの日、彼が好きだと言ってくれたのは――嘘?


頭の中を幾つもの疑問が駆け巡る。

肩にかけた大きめのバッグの持ち手をぎゅうっと握りしめる。


そうでもしないとこの場でうずくまりそうだ。
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