俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
迎えた友人の結婚式当日。

自室のカーテンの隙間からは明るい朝の光が漏れている。


小さく伸びをして、ベッドから起き上がる。

今日は懐かしい友だちにも会えるし、楽しい時間を過ごしたい。

新しく購入したドレスと靴、美容院で整えてもらった髪形に気分が上がる。


ここ数年、友人の結婚式が続いている。

幸せそうな新婦の姿を目にするとやはりおのずと自分も幸せな結婚を夢見てしまう。


楽しい大学時代をともに過ごした新婦の晴れ姿に、懐かしさとともに感慨深さが込み上げる。

大好きな新郎と腕を組み、フラワーシャワーを浴びて退場する姿に思わず涙が滲んだ。

その時、ごく自然に副社長の姿が浮かび、驚いて思わず涙が引っ込んでしまった。


私、一体なにを考えているの? 

あの人との結婚生活なんてありえないのに。


きっと価値観が違いすぎて、毎日衝突したりイライラするのが関の山だ。

そもそもあの人は私の生活スタイルや習慣、考え方に絶対寄り添ったりしてくれなさそうだ。


そもそも私と結婚したところで、なんのメリットもない。

私はただの女子社員で、どこかのご令嬢でもないし、なにか特別な才能があるわけでもない。

そんな私にプロポーズする理由がまったくわからない。
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