堕天の翼
第4章 ‐告 白‐
「みーずきちゃん!」

学食からの帰り…、午後の講義へ向かう途中の瑞希…

背後から、自分のことを呼び止める声に、振り返った…


そこには、悠や雅人たちの同級生の漆原 琢磨がいたのであった…

「……」
《今朝、初対面で会ったばかり…なのに…

随分、馴れ馴れしい人…。

この人にとっては、それが普通なのかな?


とても、成宮くんと仲良いとは思えないけど。》

と、一瞬にして、琢磨に対しての警戒心を露わにした瑞希。。頬を引き攣らせている瑞希の、その表情に…琢磨は、先程とは変わらない笑顔で…

「そんな警戒しないでくれる?」

その、心を見透かすような言動に、一瞬、緊張感が増した…

「ちょーっと、話あるんだ…」

ほぼ、初対面に近い自分に、話がある…とは、普通では考えられないようなことだ…

瑞希は、なおも警戒心を隠せなかった…

「あら、そんな怖い顔しないで。
じゃー、こう言えば…話を聞いてくれるのかな?
成宮 悠について…、君が知りたいことを教えてあげる」

「……っ」

その名を聞いた瞬間…に、瑞希の表情が一瞬、変わったことを…琢磨は、見逃さなかった…

「別に、私は…知りたいことなんて…」
《この人…、何か怖い…っ》

と、咄嗟に思ったことだった…

数歩、後ずさりかけた瑞希の腕を…突然、掴んだ琢磨…

「まぁまぁ…、雅人や瑠樺も知らない…成宮のこと、教えてあげるからさ…」

「…え…?」

琢磨は、瑞希の耳元に口を近付け…

「面白いモノ、見せてあげる…」

そぅ、耳元で囁かれた言葉…


これは…、ついて行ってはいけないんじゃ…と、脳裏に浮かんだ言葉…


…が。。その腕を、振り払おうにも…、力強い力で、振りほどくことも叶わない程だった…



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼



「悠…、あの子…、可愛い子ね…。
鷺森さん、瑞希ちゃんって…」

あまり人のいない図書室に来ていた…

本棚に背を預け…、悠の頬や首筋に、その手を這わせる…

「…何しに来たの…っ?」

その、悠の問いかけ…に、目の前の女は、吹き出し…怪しい笑みを浮かべ…

「あなたが…、私のモノだと…忠告を…
あなたが、私以外の人に関心を示す…なんて、許されないの。分かってるわよね?」

そぅ、言いながら…悠のその唇を塞いだ…

その言葉で、やはり…瑞希のことが気になっていることが…姉の奈都子にも気づかれていたということに…、悠は理解した…

【アイツが、話したのか…】と、思った。。



「そんなこと、あるワケないだろ?」


悠は、その口付けが…まるで、…義務でもあるかのように…、舌先を絡め合う…

それは、まるで…奈都子の言葉を否定するかのうな、行為…

「ねぇ、悠。抱いて…」

そぅ、耳元に聴こえた声…。。逆らう余地もない…

「昨夜もしたくせに…」

無機質な…、口元だけの笑みを浮かべた…

その女の身体を抱き寄せ…、胸元に唇を這わせる…

ワンピースのスカートから覗く素足に、指先を這わせる…

その女は、勝ち誇ったような笑みを浮かべながら…悠の頬に触れ…

「あなたは、私から逃れられない…
私から、離れようとしたら…、分かっているわよね?」

…と、悠の耳元で囁いた…


「……っ」
《その声を聴いても…、いくら身体を重ねても…

自分の心は、朽ち果てていくばかり…

心が冷めていく…


いっそ…、壊れてしまった方が…ラクなのかもしれないのに…


どうして…、彼女のことぼかり…、浮かんでしまうのか…?

手に入れられるはずなど…ないのに…

そぅ、望んではいけないことなのに…

どうして…、欲してしまうのだろうか…?》


が。。

その思いとは同時に…

もし、姉の奈都子が…自分たちとは、無関係であるはずの瑞希になにかをしようモノなら、彼女のことは、最優先に守らなければ…

その為には…、これ以上…彼女に近づかない…ということ。。


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