【短完】奇跡が降るなら、時の音を止めたいと思った。

外に出れば9月ということもあり、少なからず夏の日差しが残っている。夏と違うのは蝉の声がもうほとんど聞こえないということくらいだろうか。

湿気を含んだ熱風は私に体当たりしてくる。

『はぁー、あっつ。』

薄手のカーディガンの裾がフワリ、と揺れた。


✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

「ひぃー!」

公園について辺りを見回せばそこに居たのは初羅だけで、子供は誰一人いなかった。

『久しぶりだね、初羅。』

振られたというのに会いたいといわれ、どういう態度を取ればいいか分からなかったけれど本人を目の前にすれば案外簡単に話すことが出来るものだ。

「ごめんな、ひぃ。」

『別に、大丈夫だよ。今日は特に予定なかったから。』

初羅はなんとも言えないような顔をして笑った。知ってるよ、分かるよ、君が言いたいこと。

振ったのに、こちらの都合でいきなり呼んでゴメンなってことでしょ?
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