~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
(ひまわり)
夏海は家へ帰ったが、体中から力が抜けたみたいに、疲れきっていた。
夕食の仕度をすると、そのままソファで眠り込んでしまった。


「母さん、ほら風邪を引くよ」


聡に肩を叩かれて、目が覚めた。


「あ、おかえり。母さん寝てしまったのね」


でも、何だか体がだるかった。


「母さん、赤い顔してる。熱あるんじゃない?」


聡が、おでこに手をあてた。


「ほら、やっぱり熱いよ」


「ほんとうね、聡、引き出しから体温計とってちょうだい」


熱がでるなんて…。


「とにかく、母さんは寝てるね。後はお願い」


と、聡に言って休んだ。

翌朝も、熱は下がらなかった。康介は、夏海の顔を覗き込んだ。


「大丈夫か?とにかく俺は会社へ行ってくる。後は、子供らに任せてあるから」


康介はそう言って、出かけて行った。匠が顔をだした。


「大丈夫かい?母さん。何か欲しい物ある?」


「大丈夫よ。取りあえず起きて、何か食べなくちゃ」


夏海がキッチンに行くと、聡が朝食の仕度をしていた。


「二人とも、ありがとう。学校は平気?」


「ああ、俺達どっちか家に居ようか?」


「ううん、良いよ母さんは平気」


「やっぱ心配だから俺、いるよ」

匠が言った。


「じゃあ、俺は帰りにコンビニでなんか買ってくるよ」


聡は、そう言って出かけた。


「匠、ありがとう。悪いね」


「ううん、母さんはとにかく寝てる事」


そう言うと匠は、朝食の後片付けを始めた。
言われた通り寝てよう。夏海はベッドに入った。
颯太からLINEがきていた。


《颯太、私熱がでちゃった》


《夏海もかい。実は僕も、夕べから…。体熱いよ》

《え!颯太も?じゃあ、颯太もおとなしく寝てるのよ》


《うん、夏海も…》


夏海は、眠りにつきながら思った。不思議な事もあるのね、二人で熱を出すなんて…。






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