~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
家へ帰ると、聡はまだ帰ってなかった。
今夜は最後の夜だから、きっと帰ってこないわ。
でも、二度とない日々、聡の大切な思い出だわ。
夏海は、ため息をついた。
まだ、礼文へ帰るのに、やっておかなくちゃならない事がたくさんあるし…。
夏海は、炬燵へ入って、ぼんやりとテレビを見ていた。
その時、メールが来た。
颯太だった。


《夏海、今、匠からメールもらったんだ。僕、これから、そっちいっても良い?》


突然のメールに戸惑ったが、颯太と話したら?と言った匠の言葉が、頭をよぎった。

《いいよ、待ってる。》


颯太は、急いで来たみたいだった。

「夏海、会いたかった。」


そう言うなり、夏海を抱き締めて離さなかった。


「颯ちゃん…、こんなに冷たい。」

夏海は、颯太の胸に、頬を埋めた。

颯太は、確かにやつれて見えたが、優しそうな笑顔でこう言った。


「夏海、僕は仕事が見つかったんだ。小さい広告代理店だけどね。母さんは、とても喜んでいたよ。」


「颯ちゃん、良かったね。これで私も、安心して礼文に帰れる。」


「夏海…、僕達は終りじゃない。これからも、ずっとずっと繋がっているんだ。毎日メールや電話もする。そして休みには、礼文にも行くよ。だから夏海も、別れるなんて言っちゃ駄目だよ。いいね。」


颯太はそう言うと、持っていたバッグの中からワインをだした。


「お祝いしよう。夏海、僕達の未来に。」


「うん、颯ちゃん。」


二人は、ワインで乾杯をした。


「夏海、僕は礼文に一度、行った事があるんだ。北海道で、向日葵を撮った時に。とても良い所だね。まさか夏海が、礼文の人だったなんて。僕達は、やっぱり繋がっているんだ。」


「颯ちゃん…、ありがとう。私、颯ちゃんに会えて良かった。」


「なんだよ夏海、僕達はこれからもずっと繋がっているんだよ。僕は、あきらめないよ。」


「颯ちゃん、大好き…。」






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