Last note〜特性を持つ者へ
そこで日芽が憂莉を縛っていた縄に勢いよく吐息を吹きかけた。

縄は急激な速さで太く成長し、
日芽は美作あきらから離れるように逃げた。

「始まったわ!!憂莉!!戦って!!」

美作の攻撃が飛んできたが、
憂莉は大きな縄を操り、盾を一瞬で造った!

攻撃にバリアを張られ、
更には縄をかけられ封じられた美作は興奮して笑い叫んだ。

「まるで芸術品のようだ!!
さぁもっと激しいのを見せてくれ!!
"影"の力はまだそんな物ではないだろう!?」

倉庫内から外に向かって逃げ出す柊木姉妹を、
余裕な様子で大股で歩きながらじわじわと攻めていく美作。

倉庫を抜け出すと、木々が生い茂っている。

日芽は一番大きな木に息を吹きかけると、
大木の幹を憂莉が操る!!

ザワザワと葉音が騒ぎだし、
大木の根っこが美作に物凄い速さで襲いかかる。

美作は楽しそうに尾を振り上げて、
向かってくる4本の根っこを切り落とした。

「どうした妹さんよ、そろそろ瞳が
赤くなる頃だろ?俺はその瞳が欲しいんだ。」

「へぇ。それが"影"の"証"ってとこか?」

3人以外誰も居なかったはずなのに、
突然関西弁で話しかけられ振り向くと
烏丸が不意に拳で美作に勝負を振りかけた!

突然の事で尾で拳を防いだが、
鈍い音がした瞬間に尾の先端が粉砕した…。

「なんだ…!?」

「俺も戦いに混ぜてぇや、"Poison"。
アンタの正体はもう分かってるんやで?」

右手拳を鳴らしながら烏丸がそう言うと、
倉庫の電気が付き、静かに迫っていた警察達が美作あきらを囲んだ。

「青山さん…」

烏丸の後ろについた俺を発見した日芽さんが、
ほっとした声で呟いた。

「"Breath"め……俺を嵌めたな??」

敵意剥き出しの怖い目に怯えた日芽は、
憂莉を連れて避難した。

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