お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~


前回のお見合いはスーツを着て、ホテルのラウンジでお茶をしながらというそこまで堅苦しいものではなかった。

しかし、今回は着物を着せられ、それに合わせたヘアメイクをプロに頼んでいた。

お見合いをセッティングされた場所も料亭と、形式がどうも本格的……。

料亭への移動中も、両親や紀子伯母さんに散々「しっかりね」らしきことを言われ続けた。

ここまできたらもう行かないと抵抗するのは物理的に無理だと諦めて、私は無の境地でお見合いを乗り切ることに切り替える。

とりあえず紀子伯母さんの顔は潰さないようにして、話は聞き手に徹し、時間が過ぎ去るのをただ待つしかない。

そして後日、今日のことはご縁がなかったと返事をすればいいだけの話だ。

初めから断る前提のお見合いで、どんな顔をしていればいいのかわからない。

相手の方には本当に失礼極まりないけど、でも、無理矢理来させた伯母さんたちを恨んで……!


「失礼いたします、須藤様が到着されました」

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