犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



私の気持ちを思うままに話すと、美和はうんうん。と聞いてくれた。



「真実と向き合うよりも、今の関係を保つことが優先ってこと。だよね?」


美和の言葉に大きく頷くと、今まで曇っていた心がぱっと晴れるような気がした。



「ありがと。美和」



そう言うと、私はさっきの浅香のメッセージに既読を付けて、返事をうった。



『昨日はごめん。
私、どうかしてたと思う。飲みすぎて全然覚えてないし。
浅香は大事な同期だし、これからも変わらず関わりたい。

だから、話すことはなにもありません。
夢だと思って、忘れて。』




なんかすごく切ない文章に涙が出そうになる。きっと、この文章を送ったところで私たちの関係に溝ができるのは避けられないだろう。



だけど、仕方ない。
自分で蒔いた種だし。時間が解決してくれるはず。そう思って、送信ボタンを押した。






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