犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



通勤用のバッグを肩にかけ、家を出る前に靴箱に取り付いている全身鏡で自分の姿を再チェックした。



足元から覗く淡いグリーンのパンプスは
ビジネスカジュアルを崩せない私のほんの少しのオシャレ。



ヒールが8cmもあるそのパンプスをコツコツと鳴らしながら胸を張って歩くと、自然と気合が入るものだ。



満員電車に耐えつつ、朝の爽やかなオフィス街に到着し、社員証をピッとかざして国内有数の化粧品会社『シャルム化粧品』のオフィスフロアに入る。



駅直結という一等地に建つ、複合オフィスビルの35階から40階までがシャルム化粧品のオフィスフロアとなっていて、

入社当時はこの贅沢な立地に慣れるまでにはかなり時間がかかった。



そんな私も、今年で入社4年目の26歳。
4年目にもなると、そこそこ仕事が出来るようになり、仕事に対して楽しみを味わえるようになる。



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