犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
お気に入りの淡いグリーンの8cmヒールパンプスをすっと足に通して、全身鏡で見ると、本当にいつも通りの私が完成していた。
いつも通りで上等じゃない。
もし、これでフォーマルな格好が必要だった場合、恥をかくのはこんな格好の女性を引き連れている浅香も同じだ。
それに、もし展示会で社名を明かさなければいけないような現場に直面したら、社名を汚すことになる。
そんなみっともないことを選択する男ではないことを私はよく知っている。
もし、ドレスコードのある場所に連れて行かれそうになったら、コーディネート丸ごと購入してもらおう。
教えてくれなかったんだから、そのくらいして当然だ。
ふん、浅香くんよ。
君の性格を汲み取って今日は裏を読んでみたわよ?
さぁ、どんな反応をするのか楽しみね
なんて、士気を高めて私は玄関を飛び出した。