彼の溺愛はわかりづらい。

「まぁ海堂は、小学生みたいに好きな子いじめしかできなかったヤツだからね…。本人も少し落ち込んでたけど。で、琴はどうなの？いきなり好きになるはないとしても、ちょっとドキッとしたりしたんじゃない？」

「そ、れは、はい…しました」



エスパーしぃ姐さん。恐るべし。

…でもこれ、肯定するのも恥ずかしいな。



「おおー、あの琴に乙女の顔させるとは。なかなかやるな、海堂」

「乙女の顔ってなに」

「琴が史上最高級に可愛い顔してるってこと」

「そ、ですか。よくわかんない」

「自分ではわかんないものでしょ」

「それもそっか」



それこそ、自分が可愛いってわかってる人って…いるか、そこらじゅうに。

いや、雑草みたいに言うのもアレだけど。



「ま、海堂の動向が面白いからさ。探ってたワケよ」

「面白、って…」

「いや～、あれはウケた」



ケラケラ笑ってるしぃ。
今のしぃには、女子力の欠片もないと思う。



「…そうだ、しぃ」

「なに？」