彼の溺愛はわかりづらい。







そのまま、他愛もない話をしながら、駅前のサーティツーアイスに行った。



「えー…どれも美味しそう…。イチゴも食べたい…。あ、でも期間限定のも気になる…」

「…また来るんだからいいだろ」



ちびっ子みたいに目をキラキラさせてる渋川。

どんだけアイス好きなんだ。



「うぅ…でも…」



それでもなお、悩み続けている様子の渋川。

…アイスのことだと、こんなにも優柔不断になるものなのか…?違うか。



「…二つまで絞れ」

「え?」

「片方俺が頼む。元々自分でも頼むつもりだったし」



…いや、今決めたんだけどな。頼むつもりはなかった。



「え、じゃあ、コレとコレ!」

「はえーな」



本当にちびっ子みたいになる渋川。

…色気より食い気なのが、彼女らしくて可愛いと思ってしまうあたり、怖いくらい渋川のことが好きなんだと再確認。


…なんだか今の俺は、傍から見たら渋川の彼氏に見えてるんじゃないかと思うと、頬が緩んだ。




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