彼の溺愛はわかりづらい。


お兄ちゃんはきっと、『本気の恋』とか、したことないんだろうなぁ…。
ま、私もだけど。



――ピンポーン



「あ、もう帰ってきたのかな、世永くん」

「え?うーん…ちょっと見てくる」

「気ぃつけて」



お兄ちゃんがいるときは、過保護なお兄ちゃんが出る。

…そこまで心配することないと思うんだけどなぁ…。



「……琴、お客さん」

「へ?」



しぃが来たときは、「しぃちゃん」って言ってるから、きっと違う人が来たんだろう。

…誰だろ。中学のときの友達とか?うーん…。



「よ」

「え、海堂!?」

「なんだ、その幽霊でも見たような顔」

「幽霊でも見たような感覚なんだけど」



いや、そもそもなんでここ(私の家)知ってんの?
…普通に怖いんだけど。



「志波に教えてもらって来た」

「しぃが情報漏洩で逮捕されますように。プライバシーの侵害で訴えられますように」

「絶対意味理解して使ってねぇだろ」

「うん」




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