秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
序章 青天の霹靂



ーーーこのジュエリティア王国では、衝撃の出来事が社交界を揺るがしていた。

それはまさに、青天の霹靂ともいえる。



王都の貴族学園にて、生徒である貴族令息の寵愛を一心に受け、独占していた令嬢がいた。

中でも特に、現在の国王陛下の第一子、エリシオン・フィン・ジュエリティア王太子と、その側近である王室派、中立派貴族の子息ら四人が、一人の女子生徒である令嬢に懸想していたのは、有名な話。

学園で出会ったとある一人の令嬢に対して、全員が急に揃って熱烈な恋心を抱き、盲信し、病的に傍から離れなかったのだった。



彼らは皆、口を揃えて言う。

ーーー彼女こそ、女神だ。

『真実の愛』を見つけた、と。



まるで、禁忌の【魅了】に囚われたかのようにーーと、噂される程に。



子息らの中には婚約者の令嬢がいる者もいた。もちろん、王太子エリシオンにも幼き頃からの婚約者がいる。

だが、ある日突然。婚約者の存在を無視するどころか、自分らの盲信する令嬢に危害を加える危険分子として敵視し、糾弾する者もいたのであった。

令嬢に危害を加えるなど、彼女らには身に覚えすらないのに。

< 1 / 399 >

この作品をシェア

pagetop