1ページの恋
幽霊彼氏
悟(さとる)と出会ってから1年が過ぎた。
春の風が吹き、私の心をつれていく。
「ねぇ。私と出会って1年になるね。
私といて楽しかった?」
私はボソッと呟いた。
すると、
「楽しかったよ。
こんな僕を好きになってくれたこと…
たとえ、僕と君が触れられなくても…
そばにいるだけでとても嬉しかった。」
そう透明で消えそうな悟が言った。
そんな悟を見て、抑えてたはずの涙がこぼれた。
「なんで、こんな出会い方したんだろう。
グスッ 悟とはこんな形で出会いたくなかった…。」
私は幼い頃から幽霊が見える体質で
一人暮らしするときに引っ越した部屋にいたのが
その部屋で心臓発作で死んでしまった悟だった。
絶対に幽霊なんて好きにならないって思ってたのに
自然に悟の優しさに惚れて好きになった。
幽霊が彼氏なんてバカバカしいと思われるかもしれないけど
それでも、それでも、好きになってしまったから。
「ごめんね。僕が彼氏で…
ぎゅっと抱きしめてあげたかった。
そっとキスして愛を確かめたかった。
もう、僕は消えてしまうけど……
空であの高い綺麗な空で君のこと見守り続けるよ。
ずっと…ずっと…
愛してる…………」
最後に触れることのできない唇で私の頬に
そっとキスをして、消えていった。
ポロッ 涙が溢れてきた。
「私も…私も、悟が彼氏で良かったよ……
これからもずっと愛してる。
だから、ちゃんと私を見守っていてね…」
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