恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。



 「ね、さっきまで手袋してたよね?どうしたの?」
 「えっと、それは………昔、事故に合ってしまって……。その傷が恥ずかしくて。」


 千景には手袋を外すようにすすめられたけれど、夢はどうしてもそれが出来なかった。結局、白い薄手の手袋をして参加したものの、スマホを触るときはどうしても手袋が邪魔になってしまうのだ。

 それの手袋を、理央は見ており不思議に思ったようだった。


 「僕は医者だし、そんな事気にしないよ?……今は傷も綺麗に消せるし。ちょっと、見せて。」
 「あっ、でも………。」


 理央は夢の右手を取り、傷跡を探した。
 本当ならば、手を振り払って誰かに見られるのを拒否したかった。けれど、理央ならばお医者さんだから、イヤな顔をしないのではないか。
 そう思ってしまい、手を振り払えなかった。


 「え………これ、どうしたの?何か石が入ってるの?」
 「………事故にあったときに、怪我した所から血が大量に出てたから塞いでしまって、後から気づいたそうです。……気持ち悪くないですか?」
 「それは災難だったね。本当なら取るのが1番だけど、命が大切だからね。………それにしても、キラキラ光ってない?」
 

 理央は夢の手に顔を近づけて、手を動かしながらその光を珍しそうに見つめていた。
 夢は恥ずかしがりながらも、気持ち悪がられないでよかったと、安心してしまう。


 「夢さん、お願いがあるんだけど。」
 「………え、何でしょうか?」


 理央は何故か夢の手を握ったまま、目をキラキラさせてそんな事を言った。
 イケメンでしかも優しい男の人に手を握られて、見つめられれば例え居酒屋であってもドキドキしてしまうのは、女であれば仕方がない。しかも、恋愛経験が少ない夢は、尚更緊張してしまう。

 そんな風に思いながら、彼の言葉の続きを待つ。
 期待をしてない、はずはなかった。


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