水瀬くんは浮気をする生き物です



正直、後先なんて考えてなかった。



水瀬くんがあの日のことを覚えていてくれた嬉しさとか、今目の前で笑いかけてくれている奇跡とか、そういうことが全部無理矢理私の背中を押して、突拍子もなく吐き出された願い。



あぁ、可愛く自販機のジュースくらいにしておけばよかったのに、なんて。




ハッと我に返っても、時すでに遅し。







「…俺、浮気するよ?」







噂通りのその言葉と同時に、ホームに電車が滑り込んできた。




< 21 / 234 >

この作品をシェア

pagetop