水瀬くんは浮気をする生き物です



暗黙の了解、ねぇ。



俺が彼女と別れてから最低一週間は抜けがけなし、なんていつのまにかできているらしい謎ルールに頭を抱えながら目の前のご機嫌ナナメちゃんの隣に腰掛ければ、潤んだ瞳で見上げられて。



「ねえ、あんな子さっさと振っちゃってよ。蒼の趣味じゃないでしょ?」




ミルクティー色に染められた長い髪。ヘアカラーなんてしてないみたいにツヤがあって、毛先は緩く巻かれている。


いつのまにか俺の手に重ねられた指先には、もう先週とは違うジェルネイル。


毎日手を抜くことの無いばっちりメイクは、男の俺から見ても大層時間がかかっていそうで。


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