水瀬くんは浮気をする生き物です



「蒼くん忙しいから…」


「あー、別の女の先約で?」


「………そんなハッキリ言わなくても」




ユキちゃんの言う通り、蒼くんは他の子たちの先約で日々忙しい。



登下校も、お昼休みも、放課後も、常に周りには人がいて話しかける隙なんてないし、割って入っていく度胸もない。


あの日以降、唯一LINEでやり取りはするけれど、本当にそれだけの関係が続いているのが現状で。




「ていうか、普通先約だろうがなんだろうが彼女いたら断らない?」



グサリ。


ユキちゃんの歯に衣着せぬ物言いが、私の胸を容赦なくえぐる。




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