だれか私を愛してください
はじまり

私は、

1028...。1028...

空は高く青く澄んでいる。
周りには泣き崩れるひと、母と抱き合い喜ぶ人、父が頭を撫で回していたり。
そんな家族を横目に自分の受験番号を必死に探した。

あ。あった....。あった...!
先生にダメだといわれ悔しくて必死に夜中まで勉強した。

都会に憧れ遠くの私立高校を選んで受けた。家族と引っ越しまでしてきた。
「ここまでしたんだから受からなかったら承知しないわよ。」
とまで言われていた。

一気に力が抜けた。
受験カードをクシャっとにぎりしめ母の元へ走った。
「お母さん!!わたし受かった!!」

「そう。お父さんに報告ね」
そういって背を向けた。

周りを見渡すと
「よく頑張ったわね。」

「さすが俺の息子だな!!」

「おめでとう!今日はお祝いね!晩御飯頑張って作っちゃお!!」

など家族で喜びあっている。
「お母さ...」

「はぁ。これから仕事だから歩いて帰ってきてね。私立だからお高いわ。もっと仕事しないと」

「...。はい。」

大丈夫慣れている。...慣れている

家に帰った。

うちは服屋の店長の母と父は有名な企業の社長。
二人とも帰りが遅い。

遅いのは普通。
むしろ帰ってこないこともある。

母は新しい服のデザインで悩み大きなファッションショーに向けて頑張っている

父は帰ってきても会社から電話がかかってきて直ぐにいってしまう。
晩ご飯はいつも自分で作る。

洗濯している間に朝帰りの父が残していた洗い物を片付けお風呂を洗った。

明日は合格者説明会。1人で行かなくちゃ。
キュッと胸が痛くなった。

うちはほかのとこと比べる結構裕福である。
その代わり愛情はほかのとこと比べるとすっごくとぼしい。

最後に父と母の笑顔を見たのはいつだろうか...。
覚えている記憶をさかのぼると3歳の時を思い出した。

母は私に自分の作った服を着せて私はランウェイを歩くように父と母の前歩いた。
父はそれをみて笑顔で
「はなは将来ママの服をきてモデルになるのかー?」とかいって。
私の夢はずっと変わらないまま。
お母さんの服をきてランウェイをあるく。
母はいつも冷たいけど私は母が大好きだ。
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