それは、見事な
水曜日
共有と孤独を知る木曜日。
それは、また唐突だった。「ハルさんは、画材をどこで買っているんですか?」同じ、アルバイトの先輩(といっても二つ年下の)キューさんが、切り出してきた。社員さんがくる前の、掃除が終わった一服タイムで他愛ない会話をしていた時だ。それまでの自然な流れとは感じが違う、意図がある話題のきりだしかたににハルは少し気分が高揚したのを感じた。キューさんは23歳で、東京で一人暮らしをしている。詳しい話はあまり知らないが、お正月くらいに、この出版社へアルバイトとして入社したらしい。ハルが出会ったアルバイトの中でも、キューさんはかなり個性的な人だ。例えば、5月の爽やかに晴れ渡った日に、ウエスタンハットに焦げ茶のポンチョ、ジーパンに茶色い皮のピンヒールで出社してきたり、漫画喫茶で個室からでるのが怖くなってインターネットをずっとやってたりとか。そういったキューさんの服装や感じかたとが、どちらかというと、編集者的な匂いよりも表現者的な匂いがして、ハルは、キューさんの話を聞くのが好きだった。
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