というわけで、結婚してください!
「だが、ちょうどよかった」
と弟に向き直った征に向かって、手を差し出し、尊は言う。

「征、スマホ貸せ。
 これなら、足がつかない」

 ……軽く意味がわからないんだが、
と思う鈴の目の前で、尊は征のスマホを取り、窪田に電話していた。

「窪田か。
 まだ、なにもかも借りたままですまん。

 ……ああ、大丈夫だ。
 これは征のスマホだから。

 いや、まだなにも和解してないが?」

 なにも大丈夫じゃないですよっ?
と思いながらも、鈴は、

 やっぱり、なにやら、尊さんの方が大物な気が……と思っていた。

 小心なところもあるけど。

 いろいろ悩んでたくせに、結局、なにも考えないで、パッと動いてしまう辺りが――。

と思いながら、鈴は、教会から自分を連れ出したり、いきなり自宅のチャイムを鳴らしたりする尊を思い出していた。

 征は呆れたような顔で、兄にスマホを使われたまま、黙って見ている。

 そんな征を見ている自分に気づき、征が言ってきた。
< 167 / 477 >

この作品をシェア

pagetop