というわけで、結婚してください!
「車の用意をしてくるから、着替えとけ」
と言って、尊は出て行った。
この間に逃げるかな、と思って、わざと隙を作ってやったのだ。
だが、鈴を連れて逃げないにしても、どのみち、車はいる。
ログハウスからつながっている車庫に行ってみると、古い赤のアルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテがあった。
いや……これ、すぐには動かないだろ、と思いながら、横の小さなフィアット500を見る。
こちらは最近のものらしいが、これも赤で、内装まで赤い。
もう花嫁を連れて歩くわけではないので、それに似つかわしい目立つ車でなくていいのだが。
何故、全部、赤だ、親……と思いながら、居間から持ってきていた鍵のひとつを使い、フィアット500を動かすと、動いた。
ガソリンも充分あるようだ。
尊は車を玄関前に回したあとで、そっと裏口から覗いてみた。
中にはまだ鈴が居た。