というわけで、結婚してください!

 


 爆睡してしまった。

 疲れていたからだろうか、と起き上がった鈴は、寝室から出て、尊の姿を探す。

「尊さん?」
と尊が此処で寝ると指差していた部屋の扉を叩いてみた。

 だが、返事もないが、そもそも、人の気配自体、感じない。

「開けますよ~」
と言いながら、そうっと扉を開けてみたが、やはり、尊の姿はなかった。

 ソファで寝た形跡もない。

 尊さん、一体、何処に?
と思いながら、周囲を身渡そうと、テラスに出ると、尊はテラスに居た。

 ――隣のヴィラのテラスに。

「なんでそっちに居るんですかっ」
と鈴が叫ぶと、尊は、

「おはよう。
 こっちで寝るって言ったろう」
と言ってくる。

 ……あのとき指差していたのは、隣のヴィラだったのか。
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