絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
でも『こんなに泣いていたら、あの人に怒られちゃうわね』って言いながら、おばあちゃんは今までと変わらず笑顔で毎日を過ごしていた。

そんなおばあちゃんも、私が高校二年生の時に亡くなった。最後に『これであの人の元へ行けるわ』と言いながら。

誰もが羨むような結婚を望んだりしない。人並みの生活ができれば充分。

ただ、恋をしてお互いなくてはならない存在になりたいだけ。そして生涯笑って過ごしていきたい。

そんなありきたりな結婚を夢見ていた。……決して上杉さんのようなハイスペックな相手との、誰もが羨む結婚を望んでなどいない。それなのに――。



「まぁ、素敵よ麻衣子。ワンピース、とっても似合っているわ」

「……ありがとう、お母さん」

引きつる顔でお母さんにお礼を言う。

「えっと……バッグはどうしようかしら。それとアクセサリーも必要よね。ちょっと待ってて。お母さんのを持ってくるから」

「え、あっ……お母さん!?」

慌てて私の部屋から出ていったお母さんの背中を見送り、深いため息が零れた。

そして全身鏡に映る自分を見る。
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