イケメンエリート、はじめての純愛⁇


「ほら、帰ろう。
午後に他の仕事の打ち合わせがあるって言ってなかったっけ?」


咲子はハッと我に返った顔をして、映司を見上げた。


「映司さん、明日の…
明日のデザートは私に奢らせてください。
それは、仕事を離れて、お友達としてコーヒーを飲みたいから」


映司を見上げて恥ずかしそうに微笑む咲子のおしとやかな佇まいに、映司の思考は一瞬どこかに飛んでしまった。
無意識にキスを迫りそうになる自分を、やっとの思いで制した。

生まれて初めてのこの感情は、俺の恋愛観を全てぶち壊し、死んだはずの十代の童貞の頃の自分を呼び起こす。

丁寧に、大切に…
童貞の頃の俺が、腐りかけた今の俺にそう教えてくれる。

百通りを超えるほどの恋愛ごっこをしてきたバカな俺を、鼻で笑いながら…






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