好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜

いやいや、人としてどうだと問われれば、無銭飲食はいけないだろう。

うん…払ってこよう。

何か理由をつけないと彼に会いに行けない…んっ?
違う違う、理由があるからお店に行かないといけないのだ。

そして、やっとお店を訪れたのは、あの日から2週間ほど過ぎた休日のお昼。

お昼といっても、忙しいだろう時間は避けて来たつもりだ。

「こんにちは」

「いらっしゃいませ」

見知らぬ好青年が、笑顔でカウンターにいた。

周りを見ても、カップルと女性同士の数組しかいない。

彼の言っていた通り、週末は落ち着いているらしい。

「あの…神崎さんは?」

一瞬で、好青年の表情が変わる。

「オーナーは、奥にいますけど、今は無理ですよ」

「あっ、そうですか」

休憩中なのかなぁ…

会って、彼の反応を見てみたかったけど、仕方ないか!わざわざ呼んでもらうわけにもいかないし、お金だけ払っておけば、私が来たってわかるだろう。

「あの、前にお金を払い忘れてしまって、今日、支払いに来たんですけど、いくらかわかりますか?」

「チッ、オーナーのくせに、ちゃんと報連相しろよ」

あっ、この子、好青年風だけど毒舌の子だ。

思わず、クスリと笑った。
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