嫉妬深いから

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もの問いたげな私の視線に、彼は片手を軽く上げた。

「質問は随時受け付けます。」

アメリカ映画でよく見る宣誓のポーズみたいに。
聖書はないけど。

「知ってたよ。4年くらい前、雅人から軽く紹介されたじゃないか。
それから、仕事では時々接点あったろ?」

「あったけど、私を認識してたの?
誰にでもできる仕事だったから、入口近くにいる私に頼んだんだと思ってた。」

「お前、キッチリ仕事『だけ』してくれるから、頼みやすかったんだ。」

…なるほど。後に『お食事でもぉ』とかが多いんだね。
モテる人も大変だ。

それに根本的に、私は公私混同が好きではない。
彼もきっとそう。
社内では、極力手を出さないようにしてた、と噂で聞いた。




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