嫉妬深いから

37

「…『アラサーのカップルが、赤い顔をして照れている図』をいつまでも世間に晒すのは、恥ずかしいな。」

そう言うと、彼は会計をして、私を店の外に連れ出した。
綺麗な満月の下、そっと手を恋人繋ぎで握って、私の部屋へ向かう。

近所に住む私たち。
飲んだ後は、いつも彼が送ってくれるのだ。

でも、今日は二人の『いつも』と『距離』が違って。
お酒のせいではない身体の火照りと、胸のドキドキが私を襲う。

──それは、でも。
とても、心地よい感覚で。

この心地よさが、いつまで続くかわからないけれど。

今度は、なるべく長く、彼に幸せでいてもらえますように。
怖がらずに、恋ができますように。

冴え冴えとした光を放つ満月に、私は、心の底から祈った──


fin


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