恋愛零度。


「ーー真白」

ふいに頭の隅に響いた声で、はっとした。

ぼんやりしていた人影が消しゴムで消すみたいに消えて、はっきりとしたお姉ちゃんの姿に変わった。

「お姉ちゃん……?」

「そうだけど。大丈夫?」

「う、ううん、なんでも」

「お母さんが、目覚ましたって」

お姉ちゃんが言って、私はガバッと身体を起こした。
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