恋愛零度。
6.『楽しもう。』

「お、大人気ない……」

翌日の昼休み。お弁当を開けて、私は思わずひとり、本音を洩らした。

お母さんが、まだ昨日のことを怒っているのが、その中身からわかりやすく伝わってくる。

白ごはんと、シュウマイのみ。しかもそのシュウマイは冷凍じゃなくひとつひとつ手作りで、一緒についているのは醤油でもからしでもなく、ワサビだった。

なんて手の込んだ嫌がらせだろう。

隙間なくみっちり詰め込まれたシュウマイは、なんだか怨念の塊みたいで恐怖だ。

10年以上も執念深くお父さんのことを恨み続けているお母さんだから、しつこさに関しては充分わかっているつもりだったけど、

ーーちょっと帰りが遅くなっただけで、ここまで根に持つ……!?

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