溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

車の助手席に優花をエスコートしながら、片瀬はどこか嬉しそうに言う。


「どこ?」


優花が聞き返すが、片瀬は「内緒」といたずらに笑うばかり。結局、車が走り出しても教えてはくれなかった。

優花がその場所に気づいたのは、順調に快走した車が目的地周辺まで来たときだった。
太陽はすっかり傾き、オレンジの街灯があたりを優しく照らしている。


「もしかして……」
「どこだかわかる?」
「花いかだのオーベルジュ?」


片瀬に連れられて一度だけ訪れたことのある場所。スイートにひとり残され、寂しい夜を過ごした場所だ。

駐車場で車が停車する。


「ふたりの中で苦い思い出になっている記憶を塗り替えたい」
「片瀬くん……」
< 172 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop