野獣は時に優しく牙を剥く
仕方なく渋々受け取ると谷は満足そうに言った。
「じゃまた明日。」
「……はい。
お気をつけてお帰りください。」
「ハハッ。固いね。」
楽しそうに笑う谷を複雑な気持ちで見送る。
動き出そうとする車の窓が開いて谷がこちらを見据えて言った。
「自分だけでどうにかしようと思わないで欲しい。
今日はそれを分かって欲しかった。」
それだけ言うと「おやすみ」と言い残して車は去って行った。