野獣は時に優しく牙を剥く

 前園に言われた比喩を真に受けて何を馬鹿みたいに……と思わなくもないけれど。
 それでもたまに見せる野獣の裏でどこか寂しそうな彼を見ていられないのも本心で。

 だからこそこれ以上関わりたくないと思う気持ちよりも、彼に、彼が望むものに、もう少し付き合いたいと思ってしまった。

 その先に何が待ち受けているのか。

 恐ろしくて目を背けたくなる気持ちから本当に目を背けて、彼にもう少しだけ関わってしまおうと思った。

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