野獣は時に優しく牙を剥く

 吸引が終わると涙目になった颯太と浩太がしおらしくなって謝りの言葉を口にする。

「ごめん。澪姉。」

「楽しくてはしゃぎ過ぎちゃった。」

 へへへっと笑う二人はだいじには至らなさそうでホッと息をつく。

 二人は喘息持ちで発作が酷くなった時は夜中に救急車を呼んだこともあるし、このまま入院になるかもと脳裏にチラついたことも何度もある。

 幸い、入院は免れているけれど、ここ最近は落ち着いていたこともあり、久々の発作は正直なところ落胆も大きい。
 二人も気弱になっているのだと思う。

 そんな二人に精一杯の言葉をかける。

「馬鹿ね。謝らなくていいのよ。」

 固い顔をさせていた谷までもが謝りの言葉を口にした。

「悪い。俺もはしゃぎ過ぎた。
 やっぱり今日、泊まろうか。
 何かあった時に車があった方がいい。」

 谷の申し出に首を横に振った。

「大丈夫です。本当に平気です。」

「遠慮しなくていい。」

「そうだよ。お泊まりしてもらおう?」

「俺、龍兄と寝たい!」
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