クラスメイトの告白。


「伊原くん、タオルとか借りるね」


「俺のことはいいよ」


そんなこと言われても、ほっとけるわけない。


私はキッチンのほうに行く。


冷蔵庫を開けると、中はほとんど空っぽ。


唯一ペットボトルの水があって、それを取り出す。


冷凍室を開けると、一応氷はあった。


「だけど、氷を入れるボウルとかないか……」


キョロキョロとまわりを見る。


伊原くんの部屋は、本当に物がない。


キッチンにも何も置いていないし……。


氷を入れるものをさがして、キッチンの横にある浴室をのぞいたら手桶を見つけた。


洗面台にたたんであったタオルも手に取る。


冷凍室にある氷を手桶の中にいくつか入れたあと、水道の水を注ぎこんだ。


ペットボトルの水、タオル、氷水の入った手桶を持って、伊原くんの寝ている部屋に戻った。
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