クラスメイトの告白。
「赤西との電話は、茉雛の事故とは関係なかったか……。茉雛の制服のポケットに入っていた紙のことも、赤西は何も心あたりないって?」
「うん。不登校になる前も、白石さんがいじめにあってるなんて聞いたことないって、赤西さん言ってた」
「そっか……。あの紙は、いったいなんなんだ?」
事故のときに着ていた白石さんの制服から見つかった、あのくしゃくしゃの紙。
いじめをうかがわせる、ひどい言葉が書かれた紙。
だけど、誰も白石さんがいじめられていたなんて、見たことも聞いたこともないという。
あの紙さえなければ、“クリスマス会の準備のために飾りつけをしていて、図書室の窓からあやまって転落してしまった”という学校側の説明通り、疑問は持たなかったはず。
「茉雛の事故に関しては、ふりだしに戻ったな。何も手がかりがない」
肩を落とした伊原くんは、静かにため息をついた。
「俺は真実が知りたいだけなのに……。もし茉雛がいじめにあっていたなら、このまま茉雛が目を覚まさなかったら、茉雛はつらく苦しんだままだ。そんなの許せない」
「このまま目を覚まさなかったらなんて、言わないで。弱気になっちゃだめだよ」
「わかってるけど、でも……」
「まだ、手がかりはあるよ」