クラスメイトの告白。
*
翌朝、学校の下駄箱で靴を履き替えていると、正門から歩いてくる伊原くんが見えた。
昨日の放課後、相棒になってほしいという伊原くんからの申し出を受けて、彼のアパートで話を聞いた。
そして、伊原くんの彼女である白石さんの事故の真相を一緒に調べることになった。
ただひとり、伊原くんの秘密を知る私。
学校では、いままでどおりにしてほしいと伊原くんから頼まれている。
普段、伊原くんはクラスメイトと、ほとんどしゃべらない。
それなのに伊原くんと私が急に仲良く話していたら、クラスメイトたちも不思議に思うはず。
私たちは目立たないように、そして密かに、白石さんの事故の真相を調べていかなければならない。
それにしても……すごい。
あの金髪の色白美少年が、もっさりとした黒髪のカツラをかぶって顔をほとんど隠し、黒ぶちのメガネをかけ、背中を丸めて歩いている。
あの姿からは到底、伊原くんの本当の姿は想像できない。
演技力すごすぎる。
私が演劇部だったら、ぜったい誘う。
「体育のとき、ヅラ……ズレたりしないのかな」
ひとりごとをつぶやくと、うしろから肩を叩かれて体がビクッとなる。