クラスメイトの告白。


「うーん……そういえば、俺が放送室に行くときは図書室のドア閉めていったはずなんだけど、戻ってきたときにはドアが開いてて、それで図書室に茉雛の姿もなくて」


放送室から戻ったら、閉めていったはずのドアが開いていた。


これは、伊原くんから聞いたこと以外の情報だから、あとでノートに追加しておこう。


「ドアが開いてるのも不思議に思ったけど、暖房つけてんのに窓まで開いてたからさ」


「窓が開いてたのは、ひとつの窓だけ?」


「うん。それで窓閉めようとして窓のほうに近づいていったら、窓のそばにイスが置いてあって、床にウインドウステッカーがバラバラに落ちてた」


ここまでほとんど伊原くんから聞いたとおりの証言だ。


「窓を閉めようとして何気なく下見たら、雪の上に倒れてる女子生徒が見えて、あわてて下に向かったけど……」


そう言って緑河くんは、私の顔をジッと見つめる。


「風杏、なんでいまになって事故のこと聞きたがるの?」


「えっと、それは……」


なんて言えば、怪しまれないかな。


私が考えていると、緑河くんが何かを思いだしたような顔をした。


「そういえば前にさ、あの~風杏と同じクラスの転校生、名前なんだっけ?」


ギクッとして、私は唾をゴクンと飲み込む。


「い、伊原理埜くん」
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